近年中国市場においてビックデータを活用する動きを見せています。的確な市場調査することはマーケット獲得には欠かせないものです。
この記事ではビックデータを活用し、従来の市場調査とはどう違うのか、規制が強い印象の中国でどのようなマーケティングの手法があるのかに関して解説していきます。
最新のAI動向と中国市場を把握するための有益な情報を提供することを目的とします。
まず中国のSNSである微博(Weibo)や微信(Wechat)などには、消費者の生の声が溢れています。しかし、その投稿数は莫大な量に上ります。例えば、人気の化粧品ブランドに関する投稿は1日に数万件に及ぶでしょう。従来の手法ではこれらの大量データから有用な洞察を見つけ出すことは容易ではありませんでした。
そこで注目されるのがAIによる自然言語処理(NLP)の活用です。自然言語処理を用いれば、中国語の大量テキストデータから以下のようなことが可能になります。
AI(人工知能)が大量のテキストデータを分析し、人が普段用いてコミュニケーションをとる言語(口コミや対話などの文章)を理解しコンピュータに処理させる技術を指します。
つまり、ブランドの評判や製品の改善点、消費者のニーズを系統的に把握できるようになるのです。中国インターネット企業のアリババ、バイドゥ、センスタイム、360など各社は大規模言語モデルを活用した参入を続々と表明しています。
SNSでは、ユーザーの生の声が投稿されています。中国の主要SNSから得られる億を超える文章の言語をAIの自然言語処理技術を活用することで、大量の投稿データから自身が抽出したいキーワードのみを分析し効率的に有益な情報を得ることができます。ビッグデータを分析することで、製品やサービスに対する消費者の本音を垣間見ることができます。
例えば、以下のようなインサイトが得られます。
このように、SNSデータとAI分析を組み合わせることで、従来の調査手法では得られなかった新しい発見が期待できます。
中国のSNSデータを活用する際、自然言語処理技術が重要な役割を果たします。代表的な手法としては、以下の2つが挙げられます。
このように、自然言語処理技術を使えば、大量のSNSデータから潜在的なニーズなども発見しやすくなります。市場調査を行っている会社に依頼をし、人海戦術で十分な口コミのデータを収集するには限界がありました。しかしAIとビックデータ活用の技術が進歩した今では中国市場での分析、自社の製品・サービス改善に役立てることができます。
ブランド認知度の把握と向上には中国のSNSデータから抽出したデータから分析することがとても有用です。抽出先の具体的な中国SNS媒体はWeibo(微博)、小紅書(RED)、WeChat(微信)、抖音(Douyin※中国版Tiktok)、大衆点評(Dazong Dianping)、淘宝(Taobao)、天猫(Tmall)、天猫国際(Tmall Global)です。
上記の媒体は中国で最も利用されているSNSです。これらの媒体からAIを活用して正確な情報を得ることができれば自社ブランドに対する消費者の認知度や評価を把握できます。さらに、ブランドに関連する話題や感情の推移を追跡し、適切なマーケティング施策を立案することで、ブランド認知度の向上が期待できます。
実際にAIを活用し自然言語処理をさせた場合、自社で求めるキーワードからSNSの口コミと評判などを分析することができます。AI感情分析では、超ポジティブ(Super Positive)、ポジティブ(Positive)、普通(Natural)、ネガティブ(Negative)、超ネガティブ(Super Negative)の5段階評価で言語分類を行います。
下の図のように感情の分類と総数からのパーセンテージ、具体的にその分類に至った文章のコメントなどを元に分析データをAIが作成します。どこで買って、いくらで、品質が良くて、その時の感情など事細かに分析を行います。
AI感情分析から独自性の単語を読み解きます。それは都市や人物名などの固有名詞であったり、感情を表現する単語、形容詞などであったり、5つの感情分析の中でどのような単語が使われて、その単語から読み解ける意味を分析して解説します。
分類表には図のように分類がわかりやすいように色分けされて、より使用頻度が高いものほど感情分類の単語に近い場所に表示されるように目ですぐにわかるようになっています。
自身で選択したキーワードから関連の口コミで実際にその程度使用されたか、出てきた文章の数値、出現回数、文章構成の比率など、ランキングで事細かに分析結果を知ることができます。感情分析などのデータもこのワードランキングを元にAIによって作成されます。
中国では新語といわれる新しい造語も常に出てきています。自社で作った商品やブランド名、関連単語など、顧客にとってまだ馴染みが薄い場合もあります。そんな場合もAIの自然言語処理で単語の浸透度、利用度、頻出度を可視化してみることが可能です。
AIを活用し、中国語の言語の壁を超えてSNSデータから顧客の声を収集・分析することで、CX(顧客体験)の改善や製品やサービスの開発、顧客の要望を的確に把握できます。また中国進出企業が自社ブランドの確立やデータ分析にAIの言語処理SNSデータを活用することで、キーワードの認知度や評判、効果を迅速に把握できます。
さらに、反応を分析し、訴求内容を最適化することが可能です。新製品の開発やマーケティング戦略の立案 SNSデータから消費者ニーズを探知し、新製品開発のヒントを得ることができます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業に求められる中、テキストマイニングはデータ活用の課題を解決する強力な武器となります。まだ聞き慣れないテキストマイニングですが、どういう仕組みかみていきましょう。
テキストマイニングとは、大量の文章(テキストデータ)から、有益な情報を取り出すことをいいます。
コンピューターが「自然言語処理」という解析手法を用いて、名詞、動詞、形容詞等の単語を分類整理し、出現頻度や相関関係も細かく分析することができます。
中国のSNSデータを分析することで、消費者の本音や潜在的な嗜好を把握し、ブランドの認知度向上につなげることができます。
具体的には、以下のような取り組みが有効です。
中国ではネット検索の規制もあり、今現在もKOLと呼ばれるインフルエンサーを活用したプロモーションが主力として民間に限らず、公的機関、自治体でも有効活用されているのが日本貿易振興機構(ジェトロ)の最新の報告書でもみてとれます。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2024/9822f039402e649e/202401.pdf
閉鎖的な中国市場を攻めるにはリスクが高い面がありましたが、ビックデータを活用し大量のデータから有益な情報を抽出できるようになったため、日本企業にとって朗報と言えるでしょう。
このようにAI自然言語処理を活用することで、中国市場におけるブランド認知度の正確な把握と、効果的な向上施策の立案が可能になります。
自然言語処理によるSNSデータの分析は、新製品開発やマーケティング戦略の立案においても重要な役割を果たします。SNSでは、消費者の生の声、製品に対する評価や不満などが書かれていることから、ニーズを把握できます。
商品開発には、自社を取り巻く環境をしっかりと調査・分析しておかねばなりません。 海外マーケットとなるとその国の情報の調査も同時に必要です。この分析は一商品のためだけでなく、業界における自社の立ち位置を確認するためのものでもあるので、自社でDX化を推進しテキストマイニングを利用できる環境を作るというのはライバルと差をつけれるということでもあります。
また、AIの分析結果に基づいたマーケティング戦略を展開することも可能です。消費者の嗜好やニーズに合わせたアプローチで、効率的なプロモーション活動が期待できるのです。
中国のSNSデータを活用した中国広告の測定と最適化では、自然言語処理によるユーザーの反応分析が有効です。
どこで?なにが?誰が?どんなものを?といった購買反応など詳しく分析できるためテキストマイニングと広告測定の相性は抜群にいいといえるでしょう。
中国広告は、検索広告で百度バイドゥ(中国でのGoogle検索の位置付け)がメインであります。
近年プラットフォームの多様化が進み、ネットユーザーは平均3.84のプラットフォームを使い分けるというデータ分析が読み取れます。具体的には動画プラットフォームではTIKTOK(抖音ドウイン)が動画検索の投資を拡大しており、興味を示した動画に関連する商品を能動的に検索を行い消費に結びつきやすい傾向があります。
自社の商材がどのプラットフォームでの広告出稿に向くかという分析が重要です。
例えば、インバウンドの観光客を対象とした飲食観光向けの商材の場合、旅行集客でのCtripやグルメ、食品を扱う大衆点評を使うのが最適でしょう。またインバウンド顧客を対象に中華系電子マネー内の広告WeChat pay(微信支付ウェイシンジーフ)やAlipayアリペイ(支付宝)の広告が有用です。
自社商品が世代や女性向けなどのターゲットが明確であればECプラットフォームでの広告が良いでしょう。天猫国際(Tmall)、Red(小紅書・小红书シャオホンシュー)、淘宝(タオバオ)、WeChat(微信、ミニプログラム)で最適化広告を打ちます。
重要なことは興味関心度がより強いユーザーを自社商品を販売する店舗に導くことができるかということです。
CNNIC(中国インターネット情報センター)は検索ユーザーの利用者数は全体の80.3%を占める(全中国人利用ユーザー10億6700万)と報告しています。
どのプラットフォームでどの広告を最適化するかという戦略が必要で、その際にAI×ビックデータを活用した中国のテキストマイニングができるかどうかが極めて重要となります。
現在中国のビックデータを活用したレポート及びシステムの提供が開始されており、自社導入を検討されている方は是非弊社にご相談ください。
自社の関連「キーワード」の分析結果を基に、ターゲティングの見直しや広告表現の改善を行うことで、効果的な中国市場開拓が可能になります。
AIによる自然言語処理技術(テキストマイニング)を活用することで、中国市場における顧客体験を大きく改善することができます。
CX(顧客体験)=Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」は、企業と顧客が持つ接点の中で、顧客が体験する商品購入までと再購入を行うまでの一連の行動を指します。
例えばCMや知人の紹介で商品を知ったり、商品価格を調べて比較検討したり、口コミを調べたり、気に入った商品をSNSに投稿するなど、商品やサービスを通して顧客が体験する事柄を指します。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
このようにAIを活用することで、中国市場において顧客理解を深め、より高い満足度と顧客体験の提供が期待できます。
日本企業がAI言語処理技術を活用することで、中国人観光客の嗜好や動向を的確に把握できます。SNSデータからAIで分析することにより、以下のようなインサイトが得られます。
このように訪日中国人がSNSに投稿する文章をAI自然言語処理をすることで、話題の観光地や話題のお店、人気のお土産を探し出したり、観光地による特徴の違いやホテルのサービスを比較する等、訪日中国人のインサイトを探り出すことによって、インバウンド需要向上のための気づきを探し出します。
これらのデータを基に、商品・サービスのローカライズが可能になります。旅行前、旅行後に検索する言葉を広告やマーケティングに活用したり、SNSで人気の観光スポットを組み合わせたモデルコース作成したり等、ビックデータから可視化されたデータを活用し中国人観光客のニーズに合わせた対応ができれば、リピーター獲得やシェア拡大が期待できます。
中国市場調査においてAI自然言語処理が活用されています。実際に活用するにあたって具体的に2パターンが想定されます。
1つ目は中国テキストマイニング用のシステムを使用することです。
冒頭より具体的な内容について触れてきた内容を御社の人員が専任担当者として利用する方法です。
中国の市場データの提供を取得する必要があるためシステムの構築は困難ですが、構築されたシステムを使用すれば本記事で解説した内容を含めて全て利用可能です。自社商品に関するキーワードなど随時分析し、市場調査が可能なため非常に有用です。
実際に導入されている企業として大手自動車メーカー、大手農協共済、大手ペン製造メーカーなど既に導入されています。導入企業を例にとっても自社商品を拡販する企業にとって有意義に利用できることがわかります。
2つ目に自社で分析に必要なキーワードを選定し、調査が必要なレポートを依頼する方法です。
必要なデータに絞り込んで依頼ができ、最短で効率よく情報を得ることができます。
以上考えられる2パターンです。
実際の費用に関して、従来の市場調査を依頼してデータを収集する場合、対象とできるデータがAIに比べ10000分の1以下となり、充分な計測データでなく、一カ月の市場調査の上、費用も数百万は超えてしまうレポートとなるのですが、
一方でテキストマイニングを使用した場合は、対象とできるデータはビックデータ活用をし数億という文章からなる対象データを抽出してレポートを作成します。正確なデータでかつ費用も従来の依頼方法に比べ0が1桁少ないという費用対効果も抜群に優れます。
中国のSNSビックデータ取得については現地中国法人での取得が必要ですが、弊社にて上記の2パターン両方一環してサポートできますのでご安心ください。
AI自然言語処理技術は日々進化を遂げており、今後さらに高度化が見込まれています。
中国はビックデータを活用したビジネス展開をより注力していくと見れます。マーケティングを語る上で必要不可欠なツールになるといって過言ではないでしょう。一方で、AIの倫理的側面への配慮も重要となり、偏りのないデータの確保や、プライバシーの保護などにも注力が必要となります。
日本企業においても、中国市場向けのAI言語処理ツールの導入が進むことで、これまで以上に効率的かつ高精度な市場調査が可能になると期待できます。
中国市場調査においてAI技術の活用は必須となっています。SNSなどの大量データからAI自然言語処理によって市場インサイトを抽出することで、ブランド認知度の把握、新製品開発、マーケティング戦略立案、広告効果測定・最適化、顧客体験改善など、さまざまな活用が可能になります。
日本企業もEC販売、訪日観光客、中国バイヤー等の需要への対応として、中国人の嗜好動向をAIで分析し、商品・サービスのローカライズに生かせるでしょう。
弊社では中国のビックデータを活用したテキストマイニングのサービス提供及びAI自然言語処理を通したレポートの作成を行なっております。AI言語処理は今後ますます中国市場調査の現場で不可欠なツールとなることが見込まれています。
本記事のビックデータ活用やAI活用等のご質問等受け付けております。お気軽にご相談くださいませ。